私が『子どもの居場所』を作る理由 #18

~子ども時代・ママとして・妻として乗り越えた困難~

~子ども時代・ママとして・
     妻として乗り越えた困難~

■高校1年生の頃
[言葉巧みに子どもを騙す悪い大人達①]

中学校生活の半分をサッカー部マネージャーとして過ごし、成績に合わせて無難な高校に進学した

友達と一緒にテニス部に入部するも、半年ほどで足が遠のき、高校生活のほとんどはバイト三昧だった

バイトをする事である程度の自由なお金を手に入れ、私の世界は少しずつ広がっていった

いつも通りのある日の放課後、那覇市内の繁華街『国際通り』近くの大きな商業施設の2階の遊歩道を高校の制服で歩いていた

そこは屋外ではあるが、屋根があり、ベンチで休憩している人が少しいるくらいで、静かな落ち着いた場所だった

私は友達との待ち合わせ場所に向かうため、そこをのんびり歩いていた

するとスーツを着た40〜50代の男性が、私に歩調を合わせながら肩を並べ話しかけてきた

「エンコーしない?」

私は驚いた

『援助交際』という言葉は知っていたが、東京や大阪などの都会で行われているものであり、沖縄まで浸透しているなんてまったく思っていなかった(当時1996年)

動揺を隠しながらも、やんわり

「けっこうです」

…と断り、歩き続ける

そのまま男性は私に向かって話し続けた

「3万でどう?」

「けっこうです」

「5万は?」

「やりません」

最終的には値段は10万円まであがった

それでも断る私に

「それなら、ちょっとおじさんとおしゃべりしない?」

と言われ、さんざん断り続けていた私は『それくらいのお願いなら』と了承し、2人でベンチに腰をかけた

男性は親しげに私に言葉をかける

「援助交際したことないの?」

「おこづかい欲しいんじゃない?」

「洋服とか買いたいのたくさんあるでしょ」

「みんなやってるよ」

「ここの近くの◯◯高は多いよ」

「最近は(進学)高の子ともしたよ」

男性と会話をしているうちに、私はだんだんと意識が変わり始めていった

『あれ?みんなやってるの?』

『悪い事じゃないの?』

『(進学)高の子もやってるの?』

少しずつ
『やってもいいのかも』
…と思うようになってきた

「どう?1時間で10万だよ?いいバイトじゃない?」

私は同意しそうになったその瞬間

走馬灯が走る

〜母の顔〜

〜姉の顔〜

〜友達の顔〜

その中で印象に残った人がいた

〜サッカー部顧問の先生の顔〜

その時

『私、この人についていったら、みんなに合わせる顔がなくなる』

と悟った

我に帰り、身の危険を感じ、

「けっこうです!」

と言って走って逃げた

その後、男性が私を追いかけてくる事はなかった

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この時の経験を鮮明に覚えている

さんざん断り続けたあとのお願い「おしゃべりしない?」の言葉に同意してしまったこと

断り続けていた罪悪感から『小さなお願い』に応えてしまったのは心理学のコミュニケーション術[ドアインザフェイス]にはまってしまったのだと振り返る

その『小さなお願い』に応えてしまった事で、巧みな言葉で洗脳されていく自分の心境の移り変わりも覚えている

『悪い事』と分かっていたはずなのに、巧みな言葉で『あたりまえ』『普通のこと』とだんだんと塗り替えられていくのだ

無知な子どもを、言葉巧みに騙そうとする悪い大人がいる事を知った

そして、道を外しそうになったとき私を引き戻してくれたのは

『愛された記憶』

だった

私の事を想ってくれる人達が、私の心の中にいてくれた事で、大事な時に助けてくれたのだ

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この時の経験が、今の私の活動の軸になっている

〜あなたの事を大事に想っている1人になれるように〜

〜頭の隅にすみついて、必要な時に思い出してもらえる1人になれるように〜

〜困った時、辛い時に「たすけて」って言える1人になれるように〜

居場所活動を続けながら、この時の経験を胸に、どうしたら子ども達を守れるかを日々自問する

それからも私はさまざまな『悪い大人達』を見てきた

(我が子には「人間の形をした鬼がいるから気をつけない」と教えている)

世界が広がると同時に、子どもを取り巻く危険が増える事を知った

だから子ども達には、少しずつ段階を踏んで成長していって欲しいと願う

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では次回は

■学生の頃
[言葉巧みに子どもを騙す悪い大人達②]

のことをつづります

またみてね!